"田舎"という小さな世界

 

"高校を卒業して浪人は別として大学、短大、専門学校など何かしらの学校に通っていない子はおかしい"

"大学を卒業して就職していない子はおかしい"

"20代後半になっても結婚していない子はおかしい"

"30代になって家を出てマイホームを持ち、子供がいないとおかしい"

 

どこかの家の子が上記の何か1つでも当てはまらない事がわかればそれはあっという間に広がりあの家の子はまだ結婚をしていないだの何をしているんだのと"異質な子"というレッテルを貼られる。

それが当たり前だから子供も自ずと大人たちの中の「正しい」道を歩まなければいけないと刷り込まれる。それが田舎という"世界"なのだ。

勿論田舎の中にも理解がある地域もあるのだろうけれども少なくとも私の住んでいた地域はその"世界"だった。

 


私が高校を卒業した後くらいに近所の年下の女の子がとても派手なギャルになったことがあった。

その子を玄関先で見かける度に近所のお母さんたちは"異質なもの"を見るようになる。そしてコソコソあることないことを噂する。

その子が派手になったからといって何一つ近所に迷惑なんてかけていないのに"派手になった"だけでまるで犯罪者の様な扱いされてしまうのだ。

 


きっとそんな事で噂をされていた位なのだから当日何度も救急車にお世話になっていた私(我が家)なんて確実にご近所のお母さん方から"異質"扱いをされていただろう。

私の母親は肩身が狭かっただろうと思うと心が痛むがその反面何故母が肩身の狭い思いをしなければいけないのかと疑問に感じてしまう。

 


マイノリティを排除しない動きが活発になっている昨今の世の中がある一方、昭和の時代の"当たり前"が出来ないといけない日本の地域が未だにあるのが現実だ。

じゃあそれを改革をしていけばいいじゃないかと言われるかもしれない。でもそれはなかなかに難しい。あまりにも"当たり前"は頑固にこびり付いていてちょっとやそっとでは取れないからだ。


悲しいが私はこの"当たり前"が消えることは無いと思っている。普通の人が働いている昼間に外を歩けない世界から逃げてきて何時でも外を歩ける知り合いが誰もいない地域に住む世界を生きている今だからこそ余計に感じている。